2009年1月21日

当院の治療 vol2:ホクロ治療

今回は、ホクロ治療についてお話したいと思います。
ホクロの医学的名称は、「母斑細胞母斑(色素性母斑)」もしくは「単純黒子(こくし)」と言います。
母斑細胞というメラニン産生能力をもつ細胞が皮膚内(表皮や真皮内)で増殖してできた良性腫瘍です。種類は、先天性や後天性、形状が盛り上がっているものから平らなもの、大きさも色々で、色調が黒色、褐色、青色などを呈し、濃い色のものから薄い色のものまで様々です。 通常は、ほとんど良性です。
しかし、中にはホクロと良く似ている皮膚癌(基底細胞癌、メラノーマなど)もありますので、皮膚科専門医による診察を受け、適切な診断、治療をすることが大切です。
私は大学勤務医時代、主に腫瘍・手術班に属しており、多くの皮膚癌の患者様の治療に携わってきました。その中でもホクロの癌(悪性黒色腫:メラノーマ)は非常に悪性度が高く、発見が遅れると進行(転移)が早いため予後が非常に悪くて怖い癌なのです。
診断には、まず肉眼的に診察した上で、ダーモスコピーという病変を拡大(10倍)して観察できる拡大鏡の一種を用いて行います。肉眼では見えなかった皮膚の内部構造が詳しく分かるようになりるのです。 ダーモスコピーはホクロの色調やパターンが詳しく観察ができるため、悪性かどうかを判断するための情報がより多く得られます。大部分はダーモスコピーで診断できます。しかし、悪性が疑わしい場合には手術にてすべて切除して、採取した組織を病理検査によってさらに詳しく診断する必要があります。
当院では良性のホクロの場合、主に炭酸ガスレーザーを用いて治療しています。
炭酸ガスレーザーは、波長が10.6μmで水に対する吸収が非常に高いため、著明な熱効果によって皮膚を切開、蒸散(※水蒸気として気化して煙となって消失していきます。)させることができるレーザーです。そのため、治療したいホクロのみを限局的に切開、蒸散させて治療することができます。 周囲組織への熱影響によるダメージが非常に少ないため傷口の治りも早いです。
また治療後の傷跡や色素沈着もほとんど目立たないので、傷口はきれいに仕上がります。 さらに止血効果もあるので、ほとんど出血することなく、メスを用いた手術(切除、縫合)よりごく短時間で治療でき、術後のむくみや痛みもほとんどありません。 長年美容治療に携わってきた立場からいえることは、炭酸ガスレーザーは治療する医師の技術が最も大きく現れる治療の一つなのです。傷痕をいかに綺麗に仕上げ、同時に取り残しをしないで(再発をさせないで)治療することが大切なのです。
もちろん悪性が疑われる場合や大きいホクロの場合は、レーザー治療ではなく切除すべきです。
当院では皮膚科専門医として正確に診断した上で、大学病院での多くの治療(手術)経験に加え、長年美容外科で治療してきた豊富な経験を活かして治療を行っております。 ホクロだけでなく、イボやシミでも同様に悪性と非常に見間違えやすいものも少なくないので、正確な診断、熟練した治療が必要になってきます。
ホクロ、イボ、シミでお悩みの方は、是非お気軽にご相談ください。

炭酸ガスレーザー

治療前
レーザー治療後

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です