2011年3月2日

こだわりの治療Vol.3 『毛孔性苔癬(毛孔性角化症)』

今回は、とてもご相談の多い毛孔性苔癬(毛孔性角化症)についてお話ししたいと思います。
毛孔性苔癬(毛孔性角化症:毛穴のボツボツ)とは、肩から二の腕、上背部そして太ももに見られる毛穴に一致して、褐色の硬く触れる丘疹(ぶつぶつ)が多数見られる病気です。
1個1個は直径1~3mmと細かいのですが、ざらざらとした感触があり、特に夏に腕を出す衣服を着るようになると、気になって受診される女性が多くなります。
男女ともに見られますが、女性の方が気にするためか、受診するのは圧倒的に女性が多い病気です。
小児期から発症し、思春期頃に目立ってきます。教科書的には、多くは年齢とともに自然に消えてゆくと記載されていますが、やや目立たなくはなってきますが、なかなか完全には消えないことが多いです。
原因は不明ですが、家族内で見られることも多く、優性遺伝が考えられています。
毛孔性苔癬は毛穴の出口が広がっていて、そこに褐色の角質が充満している状態がこの病気の本態です。
毛孔性苔癬では角質とともにねじれた毛が毛穴のなかに詰まっています。

※顔面毛包性紅斑黒皮症(北村)を合併することがあります。
<顔面毛包性紅斑黒皮症(北村)>
耳前部から頬にかけて対側性にみられる紅褐色局面
毛孔性苔癬にしばしば合併します。

治療について:
一般的な治療は、角質を溶解させるサリチル酸ワセリンや尿素軟膏を塗る治療が行われてきましたが、なかなか満足できる効果は現れませんでした。
最近では、この病気の本態である毛穴に詰まった角質を除去する目的でケミカルピーリングを行ったり、毛穴に詰まったねじれた毛を除去する目的で脱毛機器を用いて治療することでかなり効果を上げることができるようになってきました。
以前は、当院でもケミカルピーリング脱毛機器を用いて治療してきました。
しかし、実際にこれらの治療では限界もあり、治療効果を出すにはかなりの治療回数が必要になってきます。
そこで当院では様々な治療方法を調べて検討に検討を重ねてきました。
たまたま当院のスタッフ数名に毛孔性苔癬を認めたため、治療モニターとして協力してもらい、様々な各治療を試して、それらの治療効果を分析・検討することができました。
その結果、治療効果および治療回数共に一番優れていた治療がダーマローラー治療でした。
何故、毛孔性苔癬ダーマローラー治療が効くのかというしっかりとした詳しい作用機序はまだ解明されていません。
私の個人的な考えを述べさせて頂きます。(※これはあくまで私個人の考えですので、ご了承下さい。)
毛孔性苔癬の本態は、角質とともにねじれた毛が毛穴のなかに詰まっている状態です。
ダーマローラー治療によって、病変部に微細な刺し傷(穴)を明けることで、毛穴の中に詰まった角質とねじれた毛が外に少しずつ排出されていくのだと思います。 また、この微細な刺し傷(穴)に対し、肌本来がもっている傷を治そうという生理的な創傷治癒反応も合わさって起こった結果、治療部(病変部)の皮膚のざらざら感がなくなり質感も改善していくと推察されます。
当院では毛孔性苔癬ダーマローラー治療をより高い治療効果を出すために、改良に改良を重ねて現在の治療方法に辿り着きました。
治療効果を出す上で重要な点は、ローラーの針の種類の選択、ローラーにかける力(圧力)、ローラーを転がす方向、エンドポイント(1回の治療をどの程度まで行うか。治療を終えるタイミングの見極め)、アフターケアなどの様々な点を個々の患者様の肌質や症状、程度に応じて決定して治療を行うことです。
尚、ダーマローラー治療によって毛穴の中に詰まった角質は除去されて皮膚のざらざら感は改善しますが、排出された毛が気になる場合には、ダーマローラー治療が終わった後に脱毛機器によって脱毛を行います。

※治療効果には個人差があります。

ダーマローラー治療による毛孔性苔癬治療は、現時点では最も効果的な治療だと考えています。
今後もさらなる治療効果の向上を目指して、勉強していきたいと思います。

☆毛孔性苔癬でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

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