多汗症

多汗症とは

汗は汗腺という部分から分泌されます。
汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺があります。
多汗症には全身の汗が多くなる全身性多汗症と体の一部にのみ発汗が増加する局所性多汗症があり、共にエクリン汗腺の病気です。 全身性多汗症は、特に原因のない原発性と他の病気に伴っておきる続発性があります。

続発性の原因としては、甲状腺の病気、糖尿病、痛風、脳梗塞、パ-キンソン病などの病気に加え、薬剤(抗うつ薬、解熱剤など)でも多汗症をおこすことがあります。 一方、局所性多汗症は、主に手のひら(手掌)や足の裏(足底)、わきの下(腋窩 えきか)、顔などの局所の発汗が多い(多汗)ことを言います。 誰でも精神的に緊張すると、手のひら、足の裏、わきの下などの汗の量が多くなります(このことを精神性発汗と言います)。

しかし多汗症の方の場合、その汗の量が非常に多く、日常生活に支障をきたすことも多いです。 原因は不明ですが、汗腺自体の構造には異常はなく、脳内の精神性発汗中枢という汗をコントロールしている部分が緊張などの情動刺激に対して過敏に反応してしまう、一種の体質と考えられています。 遺伝性があると考えられており、神経質な人に比較的多い傾向があります。

※当院では、原発性局所性多汗症の治療を行っています。

局所性多汗症の治療方法

症状にあわせて下記の治療を行っています。

ボトックス®(A型ボツリヌス毒素)には、表情筋の動きを弱めてシワを改善する作用(効果)に加えて、発汗を抑制する作用(効果)もあります。 汗の多い部分にボトックスを注射することで、汗の分泌量を減少させます。 治療効果の持続期間は、約4~9ヶ月です。(※効果の持続期間には個人差があります。) 徐々に効果が弱くなってきますので、効果を持続させるためには、年に1~2回程度の注射が必要です。

注射による痛みが強いので、あらかじめ局所麻酔薬のクリームなどを外用(治療約1時間前)していただき、冷却しながら治療を行うことで痛みを軽減できます。

参考

「わきが」(腋臭症・えきしゅうしょう)

「わきが(腋臭症)」とは、わきの下の汗が臭う状態を言います。
原因は主にアポクリン腺から分泌される汗です(エクリン汗腺からの汗も多少関与しています)。
アポクリン汗腺はホルモンの影響を受けて、思春期以降に分泌が活発(亢進)になります。
アポクリン汗腺から分泌される汗自体は無臭ですが、アポクリン汗腺から分泌される汗の成分(脂質、タンパク質など)が時間が経つと皮膚表面の細菌(常在菌)によって、分解されて刺激臭を発するようになります。
特にわきの下ではアポクリン汗腺の汗の分泌量が多く、通気性も悪いため、臭いが生じやすく、腋臭症と呼ばれます。
腋臭症には遺伝傾向があり、耳垢(じこう、耳あかのこと)が軟らかい耳垢(軟耳垢)の人が多いです(耳垢を分泌する腺は外耳道に存在するアポクリン汗腺です)。高率に腋窩の多汗を伴います。

治療方法