ホクロは、医学的には「母斑細胞母斑(色素性母斑)」もしくは「単純黒子」と言います。
母斑細胞というメラニン産生能力をもつ細胞が皮膚内(表皮や真皮内)で増殖してできた良性腫瘍です。
種類は、先天性や後天性、形状が盛り上がっているものから平らなもの、大きさも色々で、色調が黒色、褐色、青色などを呈し、濃い色のものから薄い色のものまで様々です。 通常ほとんどは良性です。
しかし、中にはホクロに良く似ている皮膚癌(基底細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ:ホクロの癌)など)もありますので、必ず皮膚科専門医による診察を受け、正確に診断した上で、適切な治療をすることが大切です。
※当院ではダーモスコピーという病変を拡大(10倍)して観察できる拡大鏡を用いて正確に診断した上で、
適切な治療を行っています。
1.母斑細胞母斑(色素性母斑)
2.黒アザ(あざ)(先天性色素性母斑)
生下時より存在する黒色斑として現れますが、新生児期には色素が薄く、茶アザ(扁平母斑)のような褐色斑として見られる場合もあります。
出生時には色調が薄いため気づかず、その後発生したと認識される場合もあります。
色素性母斑の病変部には剛毛が生える場合が多いです。
※黒あざの中には、皮膚癌(悪性黒色腫(メラノーマ:ホクロの癌)など)と非常に見間違いやすい場合もありますので、必ず皮膚科専門医による診察を受け、正確に診断した上で、適切な治療をすることが大切です。
※当院ではダーモスコピーという病変を拡大(10倍)して観察できる拡大鏡を用いて正確に診断した上で、適切な治療を行っています。
一般的に「イボ」、「皮膚のできもの」と呼ばれるものには、医学的に下記のような種類があります。
通常、ほとんどは良性であることが多いですが、中には皮膚癌のこともありますので注意が必要です。
1.脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)(老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい))
- 平ら(または半球状)に盛り上がった褐色~黒色のできもので、表面がざらざらしています。
- 顔、首、体に好発(腕や手の甲にも見られます)
- 加齢による皮膚変化で、中高年に多いです。(シミに似ています。)
(20代でも出現することがあります) - 加齢と共に増加することがあります。
2.アクロコルドン(スキンタグ)
- 直径1~数㎜の盛り上がった(有茎性)柔らかい淡褐色のできもの
- 首、胸、脇の下に好発
- 加齢による皮膚変化で、中高年(特に女性)に多いです。
- 多発することが多いです。
3.汗管腫(かんかんしゅ)
- 直径1~3㎜の常色(皮膚色)~淡紅黄色調の扁平に盛り上がったできもの
- 顔(特に眼瞼、額など)、首、胸部、腹部、背部などに好発
- 思春期頃から多発し、女性に多いです。
- 自然消退することは稀
4.稗粒腫(はいりゅうしゅ)(ミリウム)
- 表皮直下に発生する直径1~2㎜の白色のできもの
- 白色で球状の内容物(角質塊)をみとめます。
- 顔(特に目の周囲、頬、額など)に好発
- 多発することが多いです。
5.老人性脂腺増殖症(ろうじんせいしせんぞうしょくしょう)
- 直径2~3㎜の黄白色の小さなできもの
- 成熟した皮脂腺の増殖
- 中年以降の顔(額、頬、鼻など)に好発
6.眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)
- 眼瞼(特に上眼瞼)内側に好発する黄色調の扁平に盛り上がったできもの
- 一部(約1/3)に高脂血症をみとめます。
7.老人性血管腫(ろうじんせいけっかんしゅ)
- 直径1~5㎜の光沢のある紅色(ルビー色)の隆起したできもの
- 体幹(特に上半身)、四肢に好発。顔面、頚部にも見られます。(手足には出現しません。)
- 主として中年以降(10~20歳代でも初発することがあります)に見られます。
- 徐々に増加します。
8.尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい) 、足底疣贅(ミルメシア)、青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)
- ウイルス性(ヒトパピローマウイルス感染)のイボ
- 数㎜大(時に1㎝以上)の表面がざらざらしたできもの
- 顔、首、手足などに好発
- 小児や成人(若い人)に多いです。
- 放置しておくと増えたり、大きくなることがあります。
9.尖圭(せんけい)コンジローマ
- ウイルス性(ヒトパピローマウイルス感染)のイボ
- 外陰部、肛囲に多発する乳頭状~鶏冠状または花キャベツ状の紅色~褐色のできもの
- 表面が浸軟して白色を呈し、悪臭を伴います。
- 性行為感染症(STD)の一つとされています。
- 放置しておくと増えたり、大きくなることがあります。
当院では、ダーモスコピーと いう病変部を拡大して観察する機器を用いて、詳しく病変部の性状を観察し、正確に診断した上で適切な治療を行っています。 ※悪性(メラノーマなどの皮膚癌)の可能性がある場合は、レーザー治療ではなく、皮膚生検(病変部の一部を小さく採取)又はメスによる切除を行い、病理組 織検査(採取した組織を顕微鏡で詳しく調べる)で正確に診断した上で適切な治療、対応を行なっています。
※専門医療機関(大学病院など)へのご紹介も行なっています。
治療方法は大きく分けて2つあります。
レーザー治療 : 比較的小さなホクロ・イボ
炭酸ガス(CO2レーザー)、エルビウムヤグレーザー(Er:YAG)を使用してホクロやイボなどの
治療部位のみを限局的に切開、蒸散させて治療することができます。
レーザー治療は切除に比べて傷跡も少なく、治療時間も極短時間(数分程度)で、術後のケアが簡単です。
治療後は少しへこんだ擦り傷のようになりますが一週間程度で皮膚が再生してきます。
当日からメイク、洗顔、入浴もできます。
腫瘍が深い場合や治療部位によっては数回のレーザー治療が必要な場合もあります。
※尚、イボ(ウィルス性のイボ)、老人性血管腫などに関しては、ジェネシス(ロングパルスNd:YAGレーザー)、Vbeam(Vビーム)Ⅱ(ロングパルス色素(ダイ)レーザー)を用いた治療も行っています。
切除: 大きい・深いホクロ・イボ/悪性の可能性がある場合
腫瘍が大きい場合、深い病変、治療部位によって、また悪性(皮膚癌)の可能性がある場合は、
レーザー治療ではなく、メスによる切除を行います。
病理診断の結果、悪性の場合は拡大切除などが必要になります。
※専門医療機関(大学病院など)へのご紹介も行っています。
※尚、イボに関しては、液体窒素を用いた凍結療法(保険適用)も行っています。