マダニ刺症

マダニ刺症

マダニは、野外に生息するダニの仲間で、シカやイノシシなどの野生動物に寄生して吸血します。大きさは種類によって異なりますが、成虫の体長は2~8㎜、幼虫や若虫は1~2㎜程度です。普段は雑木林や下草やササ藪などで葉に静止した状態で静止し、動物が通るのを待っていますが、ハイキングや山林など野外活動の際に人が通ると、衣類や皮膚に素早く移ります。

そして皮膚の上を這い回って吸血部位を探し、下腹部や腋の周囲など、主に柔らかいところにその口器を刺し込みます。吸血を開始すると数日から2週間くらい皮膚に吸血し続けて、徐々に腹部が大きくなります。

満腹になると自然に脱落しますが、吸血中は口器が深く食い込んで引っ張っても取れません。
マダニに刺されても痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないため、吸血した虫体がかなり大きくなってからようやく気づく場合が多いです。このように、マダニが人の皮膚を刺して吸血している状態を「マダニ刺症」と呼びます。

マダニはウィルスやリケッチア、ボレリアなどの病原体を持っている場合があり、刺されることで重症熱性血小板減少症候群や日本紅斑熱、ライム病などの感染症になることがあります。実際にはマダニが病原体を保有している確率は低いので、過剰に心配する必要はありませんが、マダニに刺された後に熱や皮疹、消化器症状、神経症状などが出た場合には、必ず病院を受診して、マダニに刺されたことを伝える必要があります。

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